「準硬プレイバック企画」熱戦を繰り広げたALL東北に迫る(後編)

新型コロナウイルス の影響で春季リーグ戦が中止になり、現在も試合ができない状況が続いている。そんな中でも多くの人に、準硬式野球の魅力を知ってもらうための企画。

題して「準硬プレイバック企画」。過去の大会を振り返り、選手、マネージャー、監督の体験談を元に準硬式野球の魅力に迫っていく。

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今回は、毎年10月に行われる、全日本大学9ブロック対抗準硬式野球選手権大会(通称:9ブロック大会)を振り返っていく。9ブロック大会とは、全北海道選抜、全東北選抜、全関東選抜、全東海選抜、全北信越選抜、全関西選抜、全九州選抜の全9チームの選抜チームが日本一をかけて戦う大会である。大学硬式、大学軟式にはない、魅力的な大会の一つだ。全東北選抜の過去の成績は、優勝2回、準優勝2回。今年は去年選出された選手も多く、3度目の優勝へ期待が高まっていた。

その9ブロック大会で東北を代表して戦った全東北選抜(通称:ALL東北)の選手達に取材し、準硬式野球に対する思いを伺った。

 

前編はこちら 

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個性派揃いをまとめた名将

今大会、チームの指揮を振るったのが東北学院大学監督、伏見善成監督。伏見監督は、東北学院大学準硬式野球部のOB。大学卒業後すぐに、学院大準硬式野球部のコーチに就任。32歳からは監督を務め、今に至る。50年以上準硬式に携わり、第一線で選手の活躍を支えてきた。

長年携わってきた準硬式の環境を「自分の努力次第でステップアップできる」と語る伏見監督。大学4年間の中で大きく成長した選手を何人も見てきた名将の言葉には、重みがあった。

ALL東北が始動するのは大会一ヶ月前。この短い期間で各選手の特長を理解し、その特長を最大限に生かせるよう意識する。また、全員の選手に経験を積ませる為、ベンチ入りメンバー総動員で戦う。「今年は特長のある選手が多く揃った」と振り返る伏見監督。優勝を狙えるメンバーだっただけに、予選敗退に悔しさを滲ませた。

最後に「野球だけでなく、自分のやりたい事にも挑戦できるのが準硬式の環境。良くするのも悪くするのも全て自分の行動次第。信念を持ってやってほしい。」と選手達に熱いエールを送った。

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学生時代、リーグ記録最多22盗塁の成績を残した伏見監督

選手と共に駆け抜けたマネージャー

3年連続マネージャーとしてALL東北支えたのが、木元莉子(大曲→東北学院大学工学部)。高校時代は野球部のマネージャーを経験。選手からの誘いもあり、大学でもマネージャーを続けた。「準硬式は高校時代よりもチームの一員として戦っている感じがする」と語る裏には、お金の管理や遠征の手配など数多くの仕事をこなしている。

 1年目からALL東北のマネージャーに抜擢された木元。高校時代でマネージャーの経験はあったが、1年生の自分でいいのだろうかと不安を募らせた時もあった。そんな時、東北地区連盟で審判部長を務める石村伸男さんから、ある言葉を頂いた。

「マネージャーがダメだとチームもダメになる」不安な気持が押し寄せながらも、頂いた言葉を思い出し、選手が100パーセントの力を出せるように支えてきた。選手のモチベーションが上がるよう、打率や防御率を計算するなど、やれることは全てやってきた。チームに貢献しようと行動に移したことで、チームの戦力になっている実感が増し、責任感も増してきた。チームがどうやったら勝てるようになるのか、そんな事をマネージャーながら考えているうちに、チームが負けた時は自分にも非があると、思い悩んだことも。

マネージャーを務めた3年間でのALL東北の成績は2勝3敗1分。優勝はできなかったものの、チームの戦力として掴んだ2勝は、価値のあるものとなった。

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写真は2017年時のALL東北

 

 編集後記

7月6日、今年度の全日本大会、清瀬杯、9ブロック大会の3つの全国大会の中止が決定した。今回取り上げた9ブロック大会も中止となり、ALL東北の日本一への挑戦は来年へお預けとなった。前例のない脅威に対して、何もできずに模索する日々に、「準硬式の魅力とは」そんな問いが頭をよぎる。試合ができない今、何をするべきか。試合ができない今、準硬式がある意義とは。そんなことを考えながら、再開の兆しを探る日々に、頭を抱える。

「自分の努力次第でステップアップできる」伏見監督が仰った言葉を思い出す。

この危機に対して立ち向かうことができること。これこそが準硬式の魅力なのかもしれない。

身を委ねず、立ち向かった先には熱戦が繰り広げられているはず。祈りに似た確信が、立ち止まった背中を押していく。

 

(文:鈴木隼人)